他社と同じ会社名をつけてもOK? “社名”の疑問を税理士に聞いてみた。

「この名前つけたいのに、すでに同じ会社名があるじゃん!!」

自分の会社を作る際、会社名というのはとても重要なもの。
最も創業者の思い・理念を表現できるものなので、一番こだわりが出る要素です。

でも、実際にネットで調べてみたら、すでに同じ名前の会社が存在している!

こんな時のショックは非常に大きいものだと思いますが、では、自分がつけたい名前と同じ会社がすでに存在していたら、その名前で会社を作ることはできないのでしょうか?

疑問に思ったので、会社設立の専門家でもある税理士さんにお話を聞いてみました。

  • 同じ名前の会社は作れるのか?
  • 同じ名前の会社を作る際に気を付けるべきポイントは?

この2つをご紹介したいと思います。



同じ会社名でもOK!新しく会社が設立できる!

結論から言えば、同じ会社名でも新しく会社を設立することは可能とのこと。

しかし、それにはいくつか条件がありますので、必ず知っておきましょう。

同じ会社名でも、新規設立OKな条件とは?

では実際に、自分がつけたい名前と同じ会社がすでに存在していたとして、どんな条件であれば新規で会社が設立できるのでしょうか?

条件1:本社の住所(登記する住所)が異なればOK

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本社の住所(所在地)が違えばOKです。

会社名をGoogleなどで検索すると、「いくつも同じ会社が検索結果に出てきて判断がつかない!」という経験をされたことはありませんか?
探す側・利用する側からすれば紛らわしいことこの上ありませんが、本社・本店の住所(登記する住所)が違えば法的には全く問題ないのです。

ちなみに、2008年以前は同じ市区町村内にある場合は会社設立ができなかったとのことです。

条件2:株式会社の位置が違えばOK

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いわゆる『まえかぶ』『うしろかぶ』か、です。

例えば、すでにある会社の名前が『株式会社オナジナマエ』という社名だとします。こちらは『まえかぶ』で、会社名の前に株式会社が入っていますね。
この場合、会社名の後ろに株式会社のつく『オナジナマエ株式会社』ならOKです。同じ名前の会社は作れます。(いわゆる『うしろかぶ』)

もちろん、この逆もしかりで、すでに存在しているのが『後ろかぶ』なら、『前かぶ』の会社名にすれば、同じ名前でも新規設立が可能ということになります。

同じ会社名で新規設立する際に、注意すべき5つのポイント

とはいえ、注意すべきポイントはいくつかあるとのこと。

5つのポイントに分けて解説いただきました。

ポイント1:不正競争防止法の違反に注意!

その社名がすでに世の中に広く認識されているものだとすれば、不正競争防止法違反として、その会社名の使用の差止めや損害賠償を請求をされることがあります。

この”広く認識されている”ものがどの範囲までを言うのかは明示されていないので、詳しくは専門家に相談するべきですが、自分で「ちょっとこれはマズいかな」と思うなら、やめておいた方が懸命とのこと。

ちなみに、本当かと思い念のため不正競争防止法の内容を調べてみたら、第二条に、以下のように明記されていました。

一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

~中略

十三  不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為

※出典:不正競争防止法

十三 の方は、「わざと被害にあわせる」ようなことは禁止という内容なので、そうそう該当するものではないと思いますが、
一 の方は、故意にそうしたとはいかないにしろ起きうることなので、やはり、「自分で「ちょっとこれはマズいかな」と思うなら、やめておいた方が懸命」なのかもしれませんね。

ポイント2:商標登録に注意!

すでにその社名(商号)が『商標』として登録されていた場合は、所在地が違っていたとしても、株式会社の位置を変えたとしても使用ができません。

例えば、『ソニー』『SONY』などはすでに登録されていて、社名としても使用されていますので使うことはできません。つまり、有名企業と同じ名前は避けるべきということです。

類似する商号があるかどうかは、インターネット上で無料で調べられます。
商号(会社名)は、『登記・委託オンライン申請システム』で、登録商標については『特許情報プラットフォーム』で調査できますので、不安であれば一度調査してみることをおすすめします。

登記・委託オンライン申請システム

http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

特許情報プラットフォーム

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

ポイント3:使用できる文字・記号に注意!

会社名(商号)に使用できる文字・記号は決まっています。法律で定められた文字・記号は以下のとおりです。

  • 漢字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • ローマ字(大文字・小文字)
  • アラビア数字(1、2、3、4、5、6、7、8、9、0)
  • 記号:(&)(・)(.)(’)(,)(-)

ポイント4:使用できない文字もある!

逆に、使用できない文字があることにも注意しましょう。以下の文字は使用できません。

  • 銀行』『信用金庫』『学校』などの、特定の業種を示し、法令で禁止されているもの
    →たとえば実際には銀行事業を行っていないのに、〇〇銀行と名前を付けることはできません。
  • 公序良俗に反するもの、またはそれを連想させるもの
    →たとえば、『オレオレ詐欺株式会社』や『株式会社暴力団』のような社名は付けられません。(こんな名前をつける人はいないと思いますが…)

ポイント5:レンタルオフィスやシェアオフィスなどに注意!

先程は住所(会社登記する住所)が異なればOKとのことを書きましたが、それは裏を返せば、同じ建物(オフィスビルやデパートなどの商業施設)の中に、
自分がつけたいと思っている名前と同じ会社がすでに入居している等の場合には、登録ができなくなる可能性が高くなるということ。

この最たる例が、レンタルオフィスやシェアオフィス、バーチャルオフィスなど。
同じ建物の同じ階に複数の会社が入居しているので、「同一商号、同一住所」と見なされる可能性が高いでしょう。

会社登記住所に、レンタルオフィスやシェアオフィス、バーチャルオフィスを検討している方は、この点に十分注意するようにしましょう。

>>レンタルオフィスのメリット・デメリットの比較

同じ社名がこんなに!日本企業の社名ランキング

では、日本の企業にはどんな名前が多いのでしょうか?

2014年に東京商工リサーチ社が発表した、日本企業の社名ランキングを見てみましょう。

順位 社名 社数
1 アシスト 609
2 ライズ 515
3 アドバンス 478
4 トラスト 433
5 サンライズ 427
6 フロンティア 422
7 サンテック 384
8 アイテック 382
9 アクト 375
10 アクティブ 372
11 ワイズ 315
12 アクセス 312
13 エムテック 297
14 鈴木工務店 291
15 佐藤工務店 288
16 プログレス 284
17 田中工務店 283
18 エムズ 282
19 田中建設 281
20 ネクスト 279

すでにある会社と同じ社名をつけるデメリット

1:法的に訴えられる可能性がある

大企業の場合、社名は商標登録も行っていることが多いため、商標権侵害で訴えられるリスクがあるそうです。

また、不正競争防止法に違反するとして使用差し止めの請求を受ける、損害賠償を請求されるなどのケースも考えられるとのことです。

2:マーケティング的に不利になる

人気の社名をつけるということは、インターネットで検索したときに、同じ社名の他社に埋もれてしまう可能性があるということ。

特に、先ほどのランキング1位の『アシスト』とした場合、軽く600社以上がライバルになるわけです。

600社すでに競合がいる中で、後発の企業が検索で1位を獲得するのは、ほとんど不可能ではないか、とのことです。

3:間違い電話が多くなる

別の会社と勘違いして、間違い電話が多くなることもあるようです。

無駄な電話対応が増えてしまい、本来やるべき業務が行えなくなる等のデメリットが想定されます。

結論:同じ会社名は避けた方が無難

というわけで、今回お話をうかがった税理士さんの結論としては、以下の通りだそうです。
同じ社名にするのは訴えられるリスクもあり、仮に同じ社名にするにも制限・条件があり、自分の会社を覚えてもらいづらいという欠点もあるため、すでにある会社名と同一のものにするのは避けた方が無難とのことです。

あくまで今回お話しをうかがった税理士さんのご意見であり、個人によって意見・見解は分かれそうです。

また、社名は創業者の思いや願いが込められる重要な要素なので、「どうしてもこの社名にしたい」という思い入れがある名前であれば、その名前にできるように力を尽くしてくれるそうです。

参考:日本の有名企業の会社名やブランド名の由来

オリジナルの社名を考えるのはなかなか骨の折れるものです。
そんな時は、名前を真似するのではなく、有名な企業やブランドの名前の由来を参考にし、真似るのはいいでしょう。

下記の記事に、日本の有名企業の会社名やブランド名の由来をまとめましたので、ご参考に。

>>これぞ”愛の言霊”?日本の有名企業の社名・ブランド名の由来まとめ

会社名だけでなく、疑問に思ったら迷わず税理士さんに相談を。

今回お話を聞かせていただいた税理士さんは『税理士ドットコム』さんでご紹介いただきました。
紹介は無料ですし、何より日本最大の税理士ネットワークなので、一番安心できます。
(10年もサービスを行っている老舗なので運営団体もしっかりした会社ですし、実績がありますので。)

税理士ドットコム

なお、今回お話を伺った先生は私と同世代(30代)ということもあり、私の業種とフリーランスならではの悩み(帳簿の簡単な付け方など)を事前に詳しくヒアリングいただいた上で、こちらの希望などを的確に読み取ってくれて、何より本当に丁寧に教えてくださいました。ありがとうございました。
(税理士さんご本人の希望もあり、お名前や顔をお出しすることができないのが残念です。)

冒頭でも書いたように、すでに存在しているものと同じ会社名で新規設立は可能です。

しかし実際は多くの注意点もあり、簡単なことではありません。
恐らくこの記事を読んでいただいたほとんどの方は、初めて会社を立ち上げる方で、不安に思うことがたくさんあると思います。

一人でやるのには限界があります。
会社名のことに限らず、これから自分のビジネスを大きくしたいと思う方は、いちど税理士さんにお話を聞いてみてはいかがでしょうか。

>> 日本最大2300名の税理士さんから紹介してもらえる『税理士ドットコム』で無料相談してみる 

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