雑穀の栄養・効果シリーズの第5回目は『そば米』です。
そば米とはあまり耳慣れない名前ですが、実は歴史の古い雑穀の1つで、古くから日本では食べられてきました。
名前の響きどおり、蕎麦(そば)の実を指す雑穀の一種で、こちらも白米に比べて多くの利点がある優れた食品です。
- そば米とは?
- そば米の栄養素と、その効果的な摂り方
- そば米の効果・効能
- おすすめのそば米
上記4つの内容を中心に、そば米について詳しくご紹介していきたいと思います。
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30秒でわかる記事の概要
はじめに:そば米とは?
そば米は「そばごめ」もしくは「そばまい」と読み、蕎麦の実を茹で、乾燥させ、皮を取り除いた雑穀の一種。
上記の写真のような見た目をしており、蕎麦の香りとプチプチとした特有の食感が特徴的です。
徳島県(祖谷地方)で伝統的に食べられており、今でも食卓には欠かせない食材だとか。
そば米と蕎麦の実の違い
『そば米』と聞くとよく疑問に思うのが、そば米と蕎麦の実はどう違うのか?ということです。
前述のように、蕎麦の実を茹で、乾燥させ、皮を剥いたものがそば米ですので、両者は全く異なるもの。
お米に例えるなら、
- 玄米:蕎麦の実
- 白米:そば米
…だと言えます。
そば米の成り立ち、歴史など
蕎麦は、実をそのまま食べる”粒食”と、粉砕し粉上にした”粉食”に分かれます。
粒食の例はそば米、粉食の例は『そばがき』や、麺状にした蕎麦、そば切り等です。
最も古い食べ方は粒食で、これが歴史を経て技術・食文化の発展に伴い粉食へと変化を遂げたと考えられています。
蕎麦は、西暦610年頃に中国(当時の高麗)から石臼が伝わるまでは、お米の収穫ができない山間部の保存食として実をそのまま食べていたとのこと。
つまり、そば米は最も原始的で伝統的な蕎麦の食べ方の1つと言えます。
現在では、前述のように、徳島県(祖谷地方)を中心に県内全域で広く親しまれる他、山形県酒田市など一部の地域でも伝統的に食されています。
製造に手間暇のかかるそば米
蕎麦の実はとてもデリケートで砕けやすく、皮だけををむくのは非常に困難です。
そのため、そば米の製造には”蕎麦の実をゆでて乾燥させる”という工程があり、この工程を経ることで外皮のみをむくことが可能になります。
ちなみにゆでるのは水の状態から。さらに、水温が上がって外皮の口が開くタイミングを逃さず塩を投入し、その後取り出して乾燥させます。
この工程を経ることだけでも手間がかかるのに、塩を入れるタイミングと乾燥の状態(乾燥しすぎていても、水分が抜けていなくてもダメ)によって風味も違えば、外皮のむきやすさも違い、最適な状態に仕上げるには長年の経験も必要になります。
このように、そば米は製造するのに非常に手間暇がかかる雑穀なのです。
そば米を使った料理の例
では次に、お米や雑穀と一緒に炊く以外のそば米を使用した調理例を、いくつか簡単にご紹介します。
1:そば米雑炊
最も有名な例は、徳島県の郷土料理である『そば米雑炊』です。
そば米雑炊は、煮干しや昆布でとっただし汁に、そば米、野菜、かまぼこ等を加え煮込み、醤油や酒で味付けした雑炊です。
徳島県では家庭料理でもよく食べられている他、学校給食や調理実習のメニューにもなっており、徳島県民のソウルフードとも呼べる食べ物です。
2:フリーズドライ
フリーズドライ製品も増えています。
先ほどご紹介したそば米雑炊のフリーズドライ製品の他、大麦やもちあわ等と一緒に雑穀雑炊の原料としても使用されています。
3:そば焼酎
蕎麦の香りを活かし、そば焼酎の原料としても使用されます。
そば焼酎はくせのない風味が特徴で、1973年に宮崎県の五ヶ瀬酒造(のちの雲海酒造)が醸造したのが最初と言われますが、そば米とは違う主にダッタンソバを原料としているようです。
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海外のそば米事情
蕎麦は日本ばかりでなく、世界各国でも古くから親しまれている食品です。そのため、海外でもそば米を食べる習慣があります。
たとえばロシアやポーランドでは日本同様に蕎麦粥として食されており、塩のみで味付けしたシンプルなものの他、牛乳やバターなどで味を整えたものの他、魚介(にしんの酢漬け等)を混ぜたもの等まで多彩です。
また、ロシアでは粗挽きにした蕎麦の実をお湯で煮て、炊いたような見た目とつぶつぶの食感が特徴的なシンプルな家庭料理として親しまえています。
ただ、どちらも日本人の舌には馴染まない味と言われているため、そば米雑炊や蕎麦粥など、和食の定番である調理法がおすすめです。
雑穀『そば米』の栄養まとめ
ではここからは、そば米に含まれる代表的な栄養素をご紹介します。白米と比べてどれくらい含有量に差があるのかも合わせて記載しました。
ビタミン類
栄養素の名前 | 含有量 | 白米の何倍? |
ビタミンB1 | 0.42mg | 4倍 |
ビタミンB2 | 0.1mg | 3倍 |
ナイアシン | 4.3mg | 2.5倍 |
ビタミンB6 | 0.35mg | 2倍 |
ミネラル類
栄養素の名前 | 含有量 | 白米の何倍? |
カリウム | 390mg | 3倍 |
カルシウム | 12mg | 2倍 |
マグネシウム | 150mg | 4倍 |
リン | 260mg | 3倍 |
上記のように、ビタミン類はビタミンB群を中心に豊富に含まれ、ミネラル類も非常にバランスよくかつ多く含んでいることが分かります。
また、これ以外にも食物繊維が非常に豊富でその量は3.7mgで白米の約5倍。
そして、蕎麦に多く含まれることで知られる『ルチン』と呼ばれるファイトケミカルも見逃せません。
『ルチン』はポリフェノールの一種で、ビタミンと似た働きをする成分。この成分が、後述するそば米の多彩な健康効果を生むのです。
>>ルチンの効果・食品・摂り方まとめ。蕎麦のファイトケミカルの驚きの力!
そば米のカロリー
カロリーは100gで比較したとき、白米が356kcalに対してそば米は364kcalあります。
そのため、白米に置き換えてそば米を食べることは必ずしもダイエットに繋がるとは言えません。
一般的に低カロリーでダイエット向きの食品というイメージのある蕎麦ですが、そば米は蕎麦の外皮をむいた状態のものなので、食物繊維は豊富なもののカロリーは比較的高い傾向にあります。
そば米の栄養を効果的に摂るには?
上記のように、そば米には多彩な栄養素が含まれていますが、特にビタミンB群が豊富です。
しかしビタミンB群は水溶性の成分で、調理をする際に茹で汁に成分が溶け出してしまうため、そば米そのものを食べるのはもちろん汁ごと全部食べるようにするのが、そば米の栄養素を効果的に摂るコツです。
そば米の効果まとめ
続いては、そば米の持つ健康効果をご紹介します。
そば米の効果1:糖尿病の予防
食物繊維の他、蕎麦に豊富に含まれる『ルチン』は血管を強くし、血流を正常に保つ効果が認められています。
このはたらきが作用し、血圧を調整したり血液の状態をサラサラな状態に保つことで血糖値が安定し、糖尿病の予防に効果があるとされています。
そば米の効果2:ストレス緩和
そば米は植物性タンパク質も豊富です。
この植物性タンパク質を、種類・含有量共に豊富なビタミンB群が分解し、睡眠ホルモン『メラトニン』や精神を安定させる幸せホルモン『セロトニン』の産生を促します。
したがって、質の高い睡眠を促したり、ストレス緩和に効果があると考えられます。
そば米の効果3:肥満予防(ダイエット)
糖質や脂質を分解してエネルギーに変えるビタミンB群を含むため、肥満予防に効果があります。
間接的にダイエットにも効果があるとも考えられます。
中でも、悪玉コレステロールの生成を阻害するはたらきのあるナイアシンの含有量が豊富です。
そば米の効果4:脳細胞を活性化
そば米に含まれる『ルチン』は、タンニンやカテキンなどのファイトケミカルと結合し、脳細胞を活性化する作用が認められています。
また、そば米の植物性タンパク質は脳内伝達物質のはたらきを活性化する働きもあり、記憶力アップやアルツハイマーの予防などに効果があります。
※関連記事:そば米以外にもある、科学的に「脳にいい」と証明済みの食べ物
そば米の効果5:消化器官を健康に保つ
そば米の豊富なナイアシンは胃腸などの消化器官の粘膜を作る他、胆汁酸、ホルモン、細胞膜など主要な合成に関わります。
消化器官を健康に保つことで腸への負担を減らすため、そば米もまた『腸にいい食べ物』のひとつです。
※関連記事:腸にいい食べ物 総まとめ!「腸活」効果が証明済みのスーパーフード
そば米の効果6:便秘解消
白米の約5倍という豊富な食物繊維と、蕎麦に特異的に含まれる『コリン』というビタミン系の成分が腸に作用し、便秘を解消する効果があります。
なお、コリンは水溶性の成分のため、そば米は煮汁ごと食べるようにしましょう。
雑穀『そば米』について:まとめ
蕎麦と雑穀の良いところを合わせ持つ『そば米』。風味もよく、様々な健康効果も満載でおすすめの雑穀です。
ただし、そば米はその名前のとおり蕎麦に由来する食材のため、蕎麦アレルギーのある方は十分注意が必要です。
単にお米や雑穀と一緒に炊くだけでなく、雑炊など自分の食べやすい調理法で少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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