「2038年までにドイツでは石炭による火力発電所をすべて廃止する」
LA TIMESにこんな驚くべきニュースが掲載されました。
環境政策に積極的なドイツが、さらに大きな取り組みをしようとしています。
今回の記事では、
- ドイツの石炭火力発電所全廃のニュースの紹介
- 世界の再生可能エネルギー発電の普及率
上記2点について、わかりやすく解説します。
30秒でわかる記事の概要
2038年のドイツには石炭火力発電所はない!
ドイツが冒頭の発表を行ったのは2019年1月26日(土曜)のこと。
同国政府は「今後19年間で、ドイツ国内にある84の石炭火力発電所をすべて閉鎖し、再生可能エネルギーによる発電に切り替える」という方針を示しています。
現在、石炭火力発電はドイツの電力の40%超
この取り組みは、決して簡単なものではありません。
なぜならドイツは世界有数の石炭消費国の1つだから。
グローバルノートによれば、2017年現在でドイツは世界第8位の石炭消費国なのです。
さらに、2015年現在のドイツ国内の石炭火力発電所の割合は、40%を超えます。(下図参照)
単純計算で、1年で4つ以上の発電所を閉鎖しなければなりません。
これに並行して、再生可能エネルギー発電のインフラを整える必要もあるため、膨大な時間・予算・手間がかかることは想像に難くありません。
2022年までに原子力発電所も全廃
さらに、ドイツは2022年までにすべての原子力発電所を閉鎖することも決定しています。
これは2011年の東日本大震災に伴う福島の原発事故・災害がきっかけになっており、現在までにドイツ国内19の原発のうち12ヵ所が閉鎖されています。
原発の撤廃や縮小に動いている国はドイツ以外にも、スイス、ベルギー、台湾などがあります。
しかし、ここまで短期間で大きく再生可能エネルギー発電に切り替える方針を示した国はありません。
ドイツの環境政策への本気度がわかる政策です。
世界の再生可能エネルギーの普及率
では、世界では再生可能エネルギーはどれだけ普及しているのでしょうか?
改めて、Sustainable Japanの『世界の発電供給量割合』を確認してみましょう。
北欧諸国で高い普及率
まず目立つのはアイスランドです。
国内全ての電力が再生可能エネルギーで、水力発電と地熱発電のみです。
さらに、ノルウェーでは9割以上が水力発電で、スウェーデンでも風力・水力発電で国内のほとんどの電力をまかなっています。
もちろん、人口や自然環境など様々な要素が関係していますが、北欧諸国の普及率の高さは目を見張るものがあります。
日本は20%にも満たない
これに対して日本の再生可能エネルギー発電の割合は、20%にもなりません。
そのほとんどを石炭・石油による火力発電で賄っており、しかも燃料を輸入に頼り切っています。
実際、日本の2015年の一次エネルギー自給率は35カ国中34位のわずか『7.4%』です。(※下図参照)
※出典:経済産業省 資源エネルギー庁
日本と同じ島国であるイギリスでも、再生可能エネルギーの割合は25%以上で、一次エネルギー自給率は65.8%です。
このように、日本は再生可能エネルギーの導入で世界的に大きな遅れをとっているのです。
コスト面も改善されつつある
ここで問題となるのが、再生可能エネルギーのコスト面です。
10年ほど前であれば導入コストが非常に高額でしたが、現在は下がりつつあり、今後さらにコストが抑えられると見られています。
実際にIRENAによれば、再生可能エネルギーにかかるコストは2030年までに現在の50%~60%程度に下がると言われています。
再生可能エネルギーにシフトチェンジを
世界では、従来の石炭・石油・原発から再生可能エネルギーへのシフトチェンジが大きく進んでいます。
今回発表されたドイツ政府の方針もそのひとつです。
コストも抑えられ、すでに世界の多くの国々で『主要電源』として用いられている再生可能エネルギー。
私たちの暮らす日本でも、それは決して実現不可能なことではないはずです。
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