もしあなたが、
- ウインナーやハム、ベーコンなどの食材を使う
- 外食で肉を食べる機会が多い
- コンビニでハムサンドや明太子のおにぎりを好んで買う
上記に当てはまるとしたら、『亜硝酸ナトリウム』の脅威にさらされています。
亜硝酸ナトリウムはWHOも警鐘を鳴らす危険な物質。ガン・糖尿病などの発症リスクを高める凶悪な存在です。
この記事では、
- 亜硝酸ナトリウムとはどんな物質なのか?
- 亜硝酸ナトリウムの持つ毒性と、発症リスクが高まる病気の例
- どんな食品に多く含まれるのか?
上記3点を中心に、海外の医療情報サイトや専門家の監修記事、ncbiの臨床試験などの結果を引用し、科学的・医療的根拠に基づいた『亜硝酸ナトリウム』の知識を分かりやすく解説します。
30秒でわかる記事の概要
亜硝酸ナトリウムとは?
亜硝酸ナトリウムとは、発色剤や防腐剤として使用される食品添加物の一種です。
亜硝酸ナトリウムの用途
用途は主に以下3つです。
- 発色剤(主に食肉に使われ、赤やピンクの発色を保つ)
- 風味の向上(脂肪の酸化を抑制する)
- 細菌の繁殖を防ぐ(バクテリアの増殖を防ぎ、風味を保ち、食中毒を防ぐ)
1の『発色剤』が最も多い用途で、ソーセージやベーコン等の加工肉には必ずと言っていいほど使用されており、他には、明太子やイクラなどにも多く使われます。
また、『防腐剤』としての用途も多く、特に『ボツリヌス菌』という人体に極めて危険な細菌の繁殖を防ぐ目的で使用されます。
亜硝酸塩とニトロソアミン
亜硝酸ナトリウムを知る上で欠かせないのが、亜硝酸ナトリウムの主成分である『亜硝酸塩』と『ニトロソアミン』です。
亜硝酸塩は、窒素原子×1個と酸素原子×2個からなる化合物ですが、食品と共に亜硝酸塩を摂取すると、健康状態に悪影響を及ぼす『酸化窒素』に変化することがわかっています。
さらに恐ろしいのが『ニトロソアミン』の存在です。
この物質は、亜硝酸塩がアミノ酸と共に高熱になると生成されます。そのため、亜硝酸塩を多く含む加工肉はニトロソアミンもまた多く含む食品たり得るのです。
WHOが警鐘を鳴らす、強い発ガン性(毒性)を持つ物質
そのニトロソアミンは人体に極めて有害な化学物質で、様々な疾患をもたらすことが知られていますが、その最も代表的な病気が『ガン』です。
2015年にWHOが「ハムやソーセージなどの加工肉を1日50グラム食べると、結腸や直腸のガンになるリスクを18%高める」と発表し衝撃を与えたことは記憶に新しいでしょう。
(上記2種のガンに加えて、膵臓(すいぞう)ガンのリスクにも言及しています。)
この発表は、800もの研究論文を踏まえた結果で、同機関は「十分な根拠を基にしたものである」と強調しています。
なお、この発表では、加工肉だけでなく赤身肉も「恐らく発ガン性がある」に分類されており、同様に注意すべき食材です。
亜硝酸ナトリウム開発の経緯
亜硝酸ナトリウムが広く使われ始めたのは20世紀初頭と言われます。
アメリカでは当時、食肉加工がオートメーション化され始めた頃。
これに合わせ、食肉の大敵となる細菌の殺菌のため、多くの製造業者が亜硝酸ナトリウムを使用するようになりました。
それから1970年代に『華氏266℃(摂氏:130℃)以上に加熱されると亜硝酸ナトリウムがニトロソアミンに変換される』という発見がされるまで、数十年に渡り亜硝酸ナトリウムは広く使用され続けました。
そして上記のWHOの発表によって、より世間に認知されることになったのです。
亜硝酸ナトリウムの毒性・危険性
では、亜硝酸ナトリウムはどのような病気・疾患を引き起こすのでしょうか?
上記を踏まえ、亜硝酸ナトリウムの毒性と危険性を具体的にご紹介します。
1:強い発ガン性を持つ
最も恐ろしい特徴は、強い発ガン性を持つことです。
前述したように、亜硝酸ナトリウム中に含まれる亜硝酸塩は、熱を加えると『ニトロソアミン』を生成します。
これが強い発ガン性を持ち、様々な種類のガンの発症リスクを増大させることが明らかになっており、WHOは加工肉の消費量とガンの発症リスクの増加に関連性を指摘し、「ヒトに対して発がん性がある (Carcinogenic to humans)」と正式に認めています。
この関連性を裏付ける研究は、何例も存在します。
たとえば、2006年にスペイン・バルセロナのICOが出した発表では、ニトロソアミンとニトリライトの摂取量は、胃ガンや食道ガンの発症リスクと相関関係にあることが示されています。
※胃ガンは16の研究例のうち11件、食道ガンは18の研究例のうち11件が、亜硝酸塩とニトロソアミンの摂取量と関連していたとのこと。
その他、発ガン性の研究例
上記の胃ガンや食道ガン以外にも、下記のガンの発症リスクを高めるという研究例が存在します。
- 膀胱ガン
(2018年 スウェーデン カロリンスカ研究所) - 乳ガン
(2014年 フランス Epidemiology and Biostatistics Research Center) - 結腸直腸ガン
(2013年 イギリス インペリアル・カレッジ・ロンドン) - 口腔咽頭ガン
(2014年 中国 済寧医学院附属病院) - 肺ガン
(2007年 アメリカ アメリカ国立衛生研究所など) - 結腸直腸ガンや大腸ガン
(2014年 日本 国立循環器病研究センターなど)
2:糖尿病のリスクを高める
糖尿病の発症リスクを高めることもわかっています。
これについても複数の発表がなされており、2013年のオランダ・ヴァーヘニンゲン大学や、2012年のアメリカ・ハーバード大学でも発表において、「加工肉の消費は2型糖尿病のリスクを上昇させる」と報告されています。
さらに恐ろしいことに、1型糖尿病の発症リスクをも高めることも指摘されています。
古い例ですが、1994年にフィンランド全域を対象に行われた大規模な調査では、子どもが亜硝酸塩の摂取量が多い食生活をしている程、1型糖尿病の発症リスクが高いことが報告されています。
また、1997年のイギリス・リーズ大学の調査では、飲料水中に含まれる硝酸塩の摂取量が、1型糖尿病の発症を高めると発表されています。
このように、亜硝酸ナトリウムと糖尿病の関連性は20年以上も指摘され続けているのです。
関連記事
糖尿病の発症リスクを抑える食品は、すでにいくつも明らかになっています。
加工肉・明太子などを避けることはもちろん、下記の記事にある『糖尿病の改善に効果がある』とされる食品を食べることで対策しましょう。
3:メトヘモグロビン血症を誘発する
メトヘモグロビン血症とは、血液中に『メトヘモグロビン』が多い状態のこと。
この『メトヘモグロビン』は赤血球を構成する色素の一種ですが、酸素を全身に運ぶ役割のあるヘモグロビンと異なり、酸素を運ぶことができません。
そのため、メトヘモグロビンが増えると、血中の酸素濃度が減少し、皮膚や粘膜が青紫色になる『チアノーゼ』を起こしたり、頭痛、呼吸困難、意識障害、最悪の場合は死に至ることもある病気です。
亜硝酸ナトリウムは、この病気との関連性があることも判明しており、韓国の蔚山大学校は2014年の研究で、「亜硝酸ナトリウムの摂取は、生命を脅かすレベルのメトヘモグロビン血症を引き起こす可能性がある」と発表しています。
同様の結果は、2011年の香港中文大学、2016年タイのマヒドン大学、2014年のポーランドの研究でも明らかになっています。
※さらに、メトヘモグロビン血症は心臓病の発症リスクにも関係しているとも言われ、重大なリスクを秘めた病気なのです。
4:脳神経疾患のリスクを高める
アルツハイマーやパーキンソン病などの脳神経疾患との関連性も指摘されています。
アメリカのロードアイランド病院が行った発表では、亜硝酸塩およびニトロソアミンの摂取量が増えるほど、アルツハイマーやパーキンソン病の死亡率も増加するという結果が出ました。
これは、ニトロソアミンが遺伝子異常・DNA損傷を引き起こす作用が強く、その結果、脳細胞が変化を起こし発症するものと想定されています。
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アルツハイマー型認知症は若年化が進んでおり、20代でも発症するケースが多い病気です。
亜硝酸ナトリウムを多く含む食品を食べる以外にも、以下の記事内にある生活習慣には要注意です。
亜硝酸ナトリウムを多く含む食品
ここまで繰り返し述べているように、亜硝酸ナトリウムが含まれる代表的な食品は、ハムやベーコン、ウインナー等の『加工肉』です。
WHOが発ガン性を指摘したのも加工肉で、最も注意すべき・避けるべき食品と言えるでしょう。
これらとその他の食品と合わせ、以下が亜硝酸ナトリウムが多く含まれる食品の一覧です。
- ハム
- ベーコン
- ソーセージ
- ウインナー
- ビーフジャーキー
- コンビーフ
- サラミ
- 明太子
- イクラ
- 燻製された肉
- 塩漬けされた肉
- サンドイッチ(ハムサンド)
- ワイン(酸化防止剤として)
ハムに含まれる添加物・亜硝酸ナトリウムについて
では、ハムにはどんな食品添加物が含まれているのでしょうか?
市販のハムを調査すると、平均で10種類程度の添加物が含まれていることがわかります。
7つの商品に含まれる食品添加物を調査し、実際の写真とともに『ハムの添加物は平均10個!その種類・危険性と、安全なハムを教えます。』にまとめています。詳細は下記の記事をご覧ください。

ベーコンに含まれる添加物・亜硝酸ナトリウムについて
ベーコンにも、亜硝酸ナトリウムをはじめとした食品添加物が含まれています。
その量は、カサ増しに使われる物から食感維持、酸化防止用など、用途に合わせて平均10種類以上。
詳しくは『市販ウインナーに含まれる添加物・亜硝酸ナトリウムについて』をご覧ください。

ウインナーに含まれる添加物・亜硝酸ナトリウムについて
ウインナーにも亜硝酸ナトリウムなど、複数の添加物が含まれています。
一般的なスーパーで市販されているウインナー数製品を比較した内容は『ウインナーの添加物はどれくらい?市販品を比較。安心・安全なウインナーまとめ』にまとめています。詳しくは下記の記事をご覧ください。

硝酸塩は一部の野菜・果物にも含まれる
なお、亜硝酸ナトリウムの主成分である硝酸塩は、一部の野菜にも含まれることが知られています。
- ビーツ
- キャベツ
- にんじん
- セロリ
- 大根
- ほうれん草
- パセリ
- レタス
- 緑豆
- イチゴ
- ラズベリー
- さくらんぼ
しかし、これらの野菜は上記で挙げた加工肉や明太子のような食品とは違い、ガン等の健康リスクは低いと考えられています。
1日の摂取上限量
亜硝酸ナトリウムの1日の摂取上限量は、体重1kgあたり3.7mg以下と定められています。
※CDC(アメリカ疾病管理予防センター)、EFSA(欧州食品安全機関)共に同様の基準を設けています。
2017年度の日本人の20歳以上の体重の平均値:男性が66.0kg、女性が53.0kgで換算すると、それぞれ以下のようになります。
- 男性:約244mg
- 女性:約196mg
しかし、食品中に実際に含まれる亜硝酸ナトリウムの量を計測することは極めて困難であるため、WHOが提唱する『1日50グラム』を上回らないよう徹底しましょう。
また、成人よりもむしろ注意すべきは体の小さな子どもです。
体重がない分、亜硝酸ナトリウムの上限量も低くなり、内臓機能が未発達であることに鑑みれば、上記で挙げた食品は可能な限り避けてください。
亜硝酸ナトリウムについて:まとめ
亜硝酸ナトリウムは、私たちの日常生活のすぐそばにある脅威。
ほんの少量でも、ガン・糖尿病といった生活習慣病を引き起こす原因になり得ます。
- 普段の食事にウインナーやハム、ベーコンなどの食材を使っている方
- 外食で肉を食べる機会が多い方
- コンビニでハムサンドや明太子のおにぎりを好んで買う方
上記に当てはまる方は要注意!『1日50グラム』の上限量を守り、今日から使用を控えましょう。
合わせて知ってほしい『食品添加物』の知識
食品添加物が招く病気にはどんなものがある?一覧にしてまとめました。
>> 世にも危険な添加物!!食品添加物が招く、危険な影響まとめ&ランキング
身近な食品にも食品添加物の危険は潜んでいます。以下の食品には注意を。
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