あなたは普段、どんな油を料理に使っていますか?
恐らく「サラダ油を使っている」という方が多いのではないでしょうか。
2013年のマイボイスコムの調査によれば、家庭で最も多く使われているのはサラダ油。
全体の52%の人がサラダ油を使うと回答しています。
(※出典:マイボイスコム 食用油のアンケート調査(2))
そのサラダ油に含まれる油として知られているのが、キャノーラ油です。
キャノーラ油は認知度も手伝ってか「良い油である」と主張する意見と「危険な、悪い油だ」と主張する意見の双方が存在し、多くの議論が交されている油でもあります。
この議論に終わりはなく、それだけに未だにはっきりとした答えが出ていませんが、ここでは、キャノーラ油の成り立ちや性質から見えてくる、キャノーラを避けるべき理由に絞ってご紹介したいと思います。
30秒でわかる記事の概要
キャノーラ油と菜種油は、全く別のもの!
まずはじめに誤解のないように言っておきたいのは、菜種油とキャノーラ油は全く別物だということです。
しばしば同じ油だと誤解を受けることの多い両者ですが、原料も製法も異なり、風味は非常に似ていますが実質的には別の油だと言えます。
原料が違う
まずは原料の違いです。
菜種油もキャノーラ油も同じアブラナ科の植物を原料にしていますが、前者は日本の在来品種のアブラナを原料にしているのに対し、後者は遺伝子組み換えによって品種改良(改悪)されたGMO作物を原料にしています。
菜種油は、かつては自給率が100%でしたが現在はわずか0.04%。
風味も似通っており、値段も安いことから、今では海外産(ほとんどがカナダ産)のキャノーラ油に取って代わられ、現在日本で流通する90%がカナダ産のキャノーラ油となっています。
油の製法が違う
また、油の搾取方法(製法)も異なります。
日本の伝統的な菜種油は『玉締めしぼり』。専用の玉締め機を用いて余分な圧力をかけず、摩擦熱も最小限にしてゆっくりと搾り取る、時間と手間のかかる製法で作られています。
これに対しキャノーラ油は、効率を重視した『ノルマルヘキサン抽出法』で作られます。
ノルマンヘキサンとは、界面活性剤やアルコール、農薬などと同様の毒性の強い石油系の溶剤で、これにキャノーラ品種を浸すことで、一度に大量に、効率的に油を搾り取ることができるのです。
しかしその代償として『トランス脂肪酸』を生成し、その他、複数の有害物質が残留してしまうことが分かっています。
>> 死を招く危険な油「トランス脂肪酸」の病気・害・多く含む食品 総まとめ!
キャノーラ油と菜種油の違い:まとめ
以上のように、キャノーラ油と菜種油は全く別の油なのです。
キャノーラ油と菜種油の違いは、以下の表のとおりです。
菜種油 | キャノーラ油 | |
---|---|---|
原産国 | 日本 | カナダ |
原料 | 菜種 (日本の在来品種) |
キャノーラ品種の菜種 (遺伝子組み換え作物) |
製法 | 玉締めしぼり
専用の玉締め機を用いて余分な圧力をかけず、摩擦熱も最小限にしてゆっくりと搾り取る、日本の伝統製法。 |
ノルマルヘキサン抽出法
毒性の強い石油系の溶剤に浸し一度に大量に絞り出す。代償としてトランス脂肪酸を生成し、有害物質を残留させる。 |
キャノーラ油とは?
では、ここからは本編に戻り、キャノーラ油について詳しくご紹介していこうと思います。
まずはキャノーラ油という油そのものについてですが、前述のとおりキャノーラ油とは、品種改良されたキャノーラ品種の菜種(以下、キャノーラ品種)から採油された油のことを言います。
先述のようにサラダ油に含まれる油であり、癖のない風味からどんな料理とも相性が良く、誰しも一度は使用したことがあるのではないでしょうか。
キャノーラ油の歴史、成り立ち
では、キャノーラ油はどのようにして生まれたのでしょうか?
まずは、キャノーラ油の誕生の歴史を、かんたんにご紹介したいと思います。
キャノーラ=「カナダ生まれの油」という意味がある
キャノーラ油は、1970年代にカナダのマニトバ州立大学の研究チームによって作られたのが始まりです。
その後1998年に、病気や冷害、干ばつに耐性のある品種をと遺伝子改良の結果生まれたのが、現在流通しているキャノーラ油の原型で、それから現在に至るまで、度々”品種改良”という名の遺伝子組み換えがなされています。
ちなみに、キャノーラという名前は、生産国である『カナダ』と、オイル…つまり油を意味する『オラ』の組み合わせに由来しており、“カナダ生まれの油”という意味があります。
カナダは、このキャノーラ油の誕生によって大きな発展を遂げたとも言われており、キャノーラ油は、カナダという国を象徴する製品でもあるのです。
元々は工業用の油
実は、キャノーラ油は元々は食用として開発されたものではありません。
キャノーラ油の原型となった油は、もとは工業用油として、ろうそくや石鹸、口紅、潤滑油、インク、バイオ燃料、さらには殺虫剤などに広く使用される、正に万能の油でした。
菜種は生産も安価で容易にでき、加工も非常にしやすかったことから、「これが食用の油に転用できないだろうか」という利益目的のために遺伝子組み換えが行われ、キャノーラ品種が生まれたとされています。
そんな裏の目的を隠すためか、当初キャノーラ油は「飽和脂肪酸が少なく、オメガ3の多い驚きの油」という触れ込みで市場に登場しました。
しかし元は工業用の油。その後~現在に至るまで、キャノーラ品種及びキャノーラ油には多数の危険性が見つかっています(後述)。
キャノーラ油について、肯定派・否定派それぞれの主張
次に、キャノーラ油について交わされている議論について見ていきましょう。
冒頭でも書いたように、キャノーラ油は最も一般的な油であるがゆえに、健康に良いという肯定派と、体に悪く危険だとする否定派の議論が絶えません。
では、肯定派・否定派はそれぞれどんな主張をしているのでしょうか? 簡潔にご紹介します。
キャノーラ油・肯定派の主張
キャノーラ油肯定派の主張は、飽和脂肪酸が少なくオメガ3が豊富だから健康に良いというものが多いようです。
飽和脂肪酸は、体に悪い油の代表格。昨年にはアメリカのハーバード大学の研究チームにより「ガン・心臓病・糖尿病の発症を高め、早死のリスクを27%も増加させる」との報告がなされています。
逆に、オメガ3は体に良い油の代表例で、体中のあらゆる細胞膜の材料になり、生活習慣病やアルツハイマー等を予防し、免疫力や記憶力UPに役立つ油とされています。
また、体内で作り出すことのできない必須脂肪酸の1つである『オレイン酸』を含むことや、コレステロールの少ない、またはコレステロール0の油である(主に日本国内において)という意見もあるようです。
キャノーラ油・否定派の主張
一方、否定派の主張によれば、キャノーラ油を危険とする理由は大きく2つあります。
1つはキャノーラ油には毒ガスとして悪名高い『マスタードガス』が含まれるから、もう1つはキャノーラ品種は遺伝子組み換え作物であるからというものです。
マスタードガスとは、主に第1次世界対戦中に使用された大量虐殺兵器。
人類史上最悪の化学兵器と言われ、皮膚だけでなくDNAやタンパク質に強く作用する凶悪な毒性を持ち、最近ではあのイスラム国も使用したと言われています。
否定派は、マスタードガスもキャノーラ油も、原料となるものは同じで非常に毒性の強いものだと主張しているようです。
そして、ここまで何度か書いてきたように、キャノーラ油は遺伝子組み換えのキャノーラ品種を原料としていますが、GMO作物(遺伝子組み換え作物)の恐ろしさについては今更語るまでもありません。
キャノーラ品種に限らず、カナダで生産される作物の9割以上はGMO作物であるため、キャノーラ油を使えばほぼ間違いなくGMO作物のリスクに晒されるのです。
キャノーラ油が体に悪い理由と、引き起こす病気の例
ではここからは、キャノーラ油が体に悪いことを示す理由に絞って、より詳しくご紹介していきたいと思います。
ここまでキャノーラ油の製法や否定派の主張のご紹介を通して、いくつか体に悪いと思われる理由を挙げてきましたが、その中でも、
- キャノーラ油の90%以上がGMO作物を原料にしているから
- キャノーラ油は精製され、トランス脂肪酸が生成されているから
主に上記2つの理由に着目することで、キャノーラ油の危険性を学んでいきましょう。
以下からキャノーラ油が引き起こす病気の例をご紹介します。
1:高血圧と脳卒中
高血圧、そしてそれを引き金とする脳卒中を引き起こすことがわかっています。
金城学院大学薬学部の奥山治美氏など10名によって行われた2010年のマウス実験によると、キャノーラ油は、高血圧のマウスが脳卒中を引き起こすリスクを異常なほどに高めることが判明しています。
しかもそのリスクの高さは、大豆油や動物性脂肪を摂ったマウスよりも高いとのこと。
なお、これと同様のマウスを使った実験は世界各国で度々実施されていますが、そのほとんどで同様の結果が出ているようです。
2:ガン
ガン細胞を生み出し、ガンの発症を促すことも確認されています。
キャノーラ油が高温に熱されると、活性酸素が発生し、これがあらゆる種類のガンの発症リスクを高めてしまうのです。
さらに恐ろしいことに、2013年のアメリカのウェイン州立大学によって行われた研究では、ガン細胞はキャノーラ油に含まれるオレイン酸をエサとして増殖することが発表されています。
また別の研究では、キャノーラ油は抗酸化作用の強いビタミンEを枯渇させることも判明しています。
1997年、Nutrition Researchに掲載された内容によると、キャノーラ油は子豚の体内のビタミンEの濃度を極めて危険なレベルにまで枯渇させるのだとか。
ビタミンEは抗酸化作用の高い栄養素であり、活性酸素の発生を抑制するはたらきがあります。
つまり、ビタミンEの枯渇は活性酸素の発生を促進し、それによって起こるガンの発症確率を高めてしまうことになるのです。
>>ビタミンEが良い!”最強アンチエンジングビタミン”の効果・食べ物まとめ
3:アルツハイマー病
脳に大きなダメージを与え、アルツハイマー病の発症リスクを高めることもわかっています。
2017年12日7日、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』電子版に掲載された研究により明らかになっており、日本でも大きく取り上げられました。
この研究は米・テンプル大学のドメニコ・プラティコ教授のチームにより行われ、キャノーラ油を1年に渡って与えられたマウスは、そうでない(与えられない)マウスに比べて以下の症状が観察されたとのことです。
- 明らかな体重増加
- 短期記憶(一時的な記憶力)の著しい低下
- 作業記憶(レシピを一時的に記憶し、それを処理するための記憶力)の低下
プラティコ教授は、これはアルツハイマーの原因物質『アミロイドβ42』を防ぐはたらきのあるタンパク質『アミロイドβ1-40』が減少するためだとしています。
つまり、結果的にキャノーラ油はアルツハイマーの原因物質『アミロイドβ42』の沈着を促し、神経機能や神経細胞に異常を与えてしまうのです。
4:GMO作物が引き起こす病気
キャノーラ品種の9割以上が遺伝子組み換えである現状を考えると、これが原因で起こる病気や疾患、体の不調は見逃せません。
GMO作物が原因と想定される病気や疾患、体の不調は以下のとおりです。
- 奇形
- アレルギー反応
- 腎臓障害(主に男性)
- 肝臓障害(主に女性)
- 多臓器不全
- 発育不良
- 発達障害
- 不妊・流産
- 新生児の死亡率リスク増大(主に半数)
- 栄養失調
- 極端な体重減少、または増加
上記は一例であり、この他にも、GMO作物が原因ではないかと想定されているものは非常に多くあります。
5:トランス脂肪酸が原因で起こる病気
そして、最後にトランス脂肪酸によって起こる病気も忘れてはいけません。
トランス脂肪酸が原因で起こる病気の代表的な例は以下のとおりです。
- 肌のかゆみ(アトピー、あせも等)
- アレルギー反応
- 心臓病など血管系の病気
- 肥満
- 記憶障害
- 不妊
- 糖尿病
なお、トランス脂肪酸の害についてより詳しくは下記の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
>> 死を招く危険な油「トランス脂肪酸」の病気・害・多く含む食品 総まとめ!
キャノーラ油の代わりに使える、おすすめの油
このように、キャノーラ油は様々な病気の原因となる危険な油と言えます。
そうは言っても、キャノーラ油は家庭で最もよく使われる油だけに、突然使うなと言われても難しいものです。
そこで、最後にキャノーラ油の代用品として使えるおすすめの油をいくつかピックアップしてご紹介します。
1:菜種油
はじめにご紹介するのは日本の伝統的な菜種油です。
キャノーラ油やサラダ油と同じ感覚で使用することができ、癖がないため、和・洋・中とどのようなジャンルの料理にも合わせやすい万能油です。
オーガニック農法(有機農法や自然栽培など)で作られた『菜種』を使用し、伝統的なコールドプレス製法で搾り取られた油を選びましょう。
また、保存容器としては日光の影響を避けることのできる色付きのガラス瓶などに詰められたものがいいでしょう。
こうした日本伝統の製法の『菜種油』は酸化しにくいのが特長で、特に揚げ物をした際にその良さがわかります。
2~3度油を使用しても特有の酸化臭がせず、風味を長期間保つことができます。
おすすめは鹿北製油の菜種油。ノンGMO(非遺伝子組み換え)・有機栽培の菜種のみを使用し無精製の一番搾り油です。
価格は張りますが、その分、キャノーラ油では決して味わえない新鮮で癖のない風味が楽しめます。
2:オリーブオイル
オリーブオイルもおすすめの油です。
オリーブオイルの発煙点(油を加熱し煙が出る温度のこと)は210℃と高温。
そのため、酸化しにくいという特長があり、日本人にもなじみのある油であることから調理油として優秀です。
こちらも菜種油と同様に、オーガニック農法かつコールドプレス製法で作られた製品がおすすめ。
おすすめは『LUISA』のオリーブオイル。
栽培・製造まですべて自社農園で一貫して行っているため安心で、フレッシュなフルーツのような強い香りが特長のオリーブオイルです。
以下の記事で、おすすめのオリーブオイルをまとめていますので合わせてお読みください。
>> これぞ本物!有機オリーブオイル「LUISA」の口コミ・感想・お得な買い方全集!
3:ココナッツオイル
ココナッツオイルは、脂肪燃焼効果の高い油として知られる中鎖脂肪酸の宝庫(60%以上)です。
ただし、巷に溢れるココナッツオイルの多くは、薬品などにより化学的に精製されたもの。
中鎖脂肪酸の恩恵が受けられるのは、コールドプレス製法(熱することなく低温の状態で、圧力をかけて潰して搾り取る方法)で作られた、未精製のものに限ります。
>>無農薬、無精製、無漂白、無肥料でノンGMO。エキストラヴァージンココナッツオイル
4:ギー、グラスフェッドバター
ギーは発酵バター(無塩)から水分やタンパク質などを取り除いた油で、インドでは料理に使う他にアーユルヴェーダにも使用されているとか。
グラスフェッドバターは、完全放牧で飼育され、牧草のみを食べて育った牛の牛乳のみで作られたバターのことです。
両者には、魚の油として知られるDHAやEPAと同じ『オメガ3』が豊富に含まれています。
>>グラスフェッドバターを使用した『アハラ ラーサ』のオーガニックギー
キャノーラ油について:まとめ
いかがでしょうか。
キャノーラ油は、恐らくたいていの方にとっては普段最もよく使う油のひとつ。それだけに、ショックを受けられた方もいらっしゃるかもしれません。
国産の信頼できる素材と製法で作られた菜種油ならともかく、市販のキャノーラ油のほとんどは、GMOのキャノーラ品種を使ったものであり、決して健康とも安全とも言えない代物なのです。
また、キャノーラ油はスーパー等で販売されているだけでなく、ファーストフードを中心とした外食産業で非常に多く使用されている油です。
つまり、外食すれば、ほぼ間違いなく今回ご紹介したような危険性にさらされることになります。
広く普及しているからといって、それが信頼できるものとは限りません。
しかし、身の回りに溢れている食品だからこそ気をつけなければならないのです。
これでもまだあなたは、市販のキャノーラ油を使いますか?
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