日本の経済格差の拡大が止まりません。
昨今、”貧困層”という言葉がニュースやSNSでよく見られるようになり、低収入に苦しむ層が増えています。
しかし一方で、年収1000万円を超える層も変わらず一定数存在していることも確か。
この結果起こるのが、深刻な『経済格差』です。
経済格差の恐ろしいところは、生活レベルに直結するということではなく、また別の問題を多く引き起こすという点。そして、その事の重大さに未だに多くの人が気付いていないという点にあります。
そこで今回は、過去最大の経済格差が原因となって起こった2つの重大な問題を取り上げるとともに、経済格差をなくすための方法も合わせてご紹介します。
30秒でわかる記事の概要
日本の経済格差の現状
まずはじめに、日本の経済格差の現状を確認しておきましょう。
結論から言えば、日本における経済格差は過去最大。
厚生労働省が2016年9月に発表した『所得再分配調査』によれば、平成26年度の『ジニ係数』が、調査以来過去最高の0.5704ポイントを記録したとのこと。
この『ジニ係数』とは、国民の間でどれだけの収入の格差があるかを示した指標で、1に近づくほど格差が大きく、0に近づくほど格差がないことを表します。
冒頭でも述べたように、貧困層の拡大と、常に一定数存在する年収1,000万円以上の富裕層の差が、このかつてない経済格差を産んでいるのです。
経済格差が原因で生まれる問題
では、経済格差は実際にどんな問題を生んでいるのでしょうか?
いくもある問題の中でも、今回は特に重大な2つの問題(格差)をピックアップしてご紹介します。
1:健康格差
1つ目は健康格差。
低所得者ほど健康面のリスクが高まることが、様々な調査で明らかになっています。
(日本福祉大学の近藤克則教授は、所得の格差が健康の格差につながっていると自著『健康格差社会』で指摘しています。)
経済格差と健康格差の相関関係を示す、3つの例をご紹介します。
1-1:低所得者ほど、要介護認定を受けやすい
たとえば全日本民医連の行った調査によれば、所得と要介護者の認定数には明確な相関関係があったことがわかっています。
同調査では、生活するのに介護を必要とする『要介護者』の割合は、低所得層になるほど増え、その数は高所得層の約5倍。
さらに、過去に転倒やうつ病を経験した高齢者の割合も高くなることも判明しています。
1-2:子どもの健康状態に影響
収入の低さは、自分だけでなく子どもの健康状態にも影響します。
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏の調査によれば、年収の低い家庭の子どもは入院することが多く、さらに病気の回復も遅いことが判明しています。
この研究では、子どもがいる家庭を貧困層(4人家族で年間世帯年収:250万円未満)と非貧困層の2つに分け、以下の項目について調査しました。
- 入院の有無
- 下記6つの慢性疾患の治療目的で通院しているか?
(ぜんそく、アトピー性皮膚炎、湿疹、先天性の病気、アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎、食物アレルギー)
その結果、2歳時点で貧困層は非貧困層より1.3倍多く入院し、1歳時点のぜんそく治療の通院割合は貧困層が非貧困層の1.35倍多いことが判明しました。
阿部氏によれば、貧困層の家庭で育った子どもは食事の栄養バランスや住環境の悪さが原因で病気になりやすく、回復力が低くなってしまうそう。
また、経済的に苦しい親は、子どもの体調の変化に鈍感で、入院するほど悪化する前に病院に連れていく時間的な余裕がないことも原因とされるとのこと。
1-3:低収入者は肥満率が高まる
厚生労働省が発表した『平成26年 国民健康・栄養調査』によれば、低所得層ほど野菜や果物の摂取量が低いことがわかっています。
この調査では、下記3つのグループに分けて野菜・果物や肉などの主要な食品の1日当たりの摂取量を集計しました。
- 高収入層:年収600万円以上
- 中収入層:年収200万円~600万円
- 低収入層:年収200万円未満
その結果、高収入層では野菜や果物の摂取量が多く、逆に低収入層になるほど少なくなることが判明しました。
低収入層は、安価なジャンクフードを主に摂取するため、これに伴い肥満率が高まり、肥満に起因した生活習慣病の発症リスクもまた高まることが指摘されています。
2:教育格差
2つ目の問題は『教育格差』です。
この『教育格差』問題については、非常に残酷な現実を突きつけられる結果が出ており、健康格差以上に深刻と言えます。
東京大学大学院教育学研究科が2009年に発表した『高校生の進路と親の年収の関連について』によれば、親の年収によって大学進学率に大きな格差があることが明らかになっています。
この研究では、2005年~2008年の間に、全国の高校3年生約4000人を抽出して3年間追跡調査を行いました。
保護者から自己申告で年収を聞き取った年収を、年収別で以下7つのグループに分け、卒業後の予定進路と両親の年収の関係を調べました。
- 200万円以下
- 200~400万円
- 400~600万円
- 600~800万円
- 800~1000万円
- 1000~1200万円
- 1200万円超
その結果、4年制大学への進学予定者の割合は、両親の年収に正比例して増加することが判明しました。
上記グラフからもわかるように、年収200万円以下の過程ではわずか17.6%なのに対し、年収1200万円超の家庭では3倍近い50.5%にも昇ります。
このデータを一見したところ、塾や家庭教師といった教育補助を受けさせる経済的余裕の差に起因しているように思えます。
しかし、同研究を行った金子元久氏は以下のように、全く別の理由を示しています。
「高所得の親は子どもの将来のキャリアに対する確かな見通しを持っている点が大きい。小さいうちから子どもをしつけ、動機づけをしていくことが、家庭で比較的できている」
出典:日経BPネット 「所得格差」が「教育格差」を生む冷酷な現実
親として小さいうちから子どもの将来のキャリアを示してあげられなければ、やはり子どもも親と同レベルかそれ以下のレベルにしか達することはできないでしょう。
この研究は、両親の収入が子どもの将来の可能性をどれだけ広げてあげられるかに大きく関わることを証明しているのです。
経済格差をなくすためには?
以上のように、経済格差は『健康格差』と『教育格差』という2つの重大な問題の原因となっています。
「確かに、実際に自分の身に起きている」「周囲でこれと似たような問題がある」と感じた方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
こうした問題をなくすためにも、経済格差をなくすことは急務となりますが、どうすれば経済格差をなくせるのでしょうか?
ここからは、その解決策について書いていこうと思います。
国や企業は、経済格差をなくせない
「経済格差をなくすには?」と聞くと、「国や企業が何か対策をするのだろう」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、恐らくこれは(少なくとも現代においては)期待できません。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2016年12月に政府が厚生労働省の『モデル就業規則』から副業・兼業禁止規定を排し、”原則禁止”から”原則容認”に転換。これにより、副業や兼業を後押しする方針を打ち出しました。
そして、その影響もあってか、副業を許可する企業や推奨する企業も続々と増えてきています。
これは、国や企業が「自分の身は自分で守れ」と言っているのと同義。
経済格差をなくすことは、もはや国の政策や一企業の力では不可能な段階まで来ているのです。
キーワードは『複業』
つまり、経済格差をなくすのは自分自身だけということ。
私たち一人一人が動くことでしか、経済格差は埋まりません。逆に何もしなければ、経済格差は埋まるどころか開く一方です。
そんな現代において重要なキーワードが、『複業』です。
複業は『パラレルワーク』や『パラレルキャリア』とも呼ばれ、勤務先(会社など)からの給料だけでなく、複数の収入源を持つ働き方のことを言います。
大企業が経営難や倒産に追い込まれる時代にあって、1つの収入源のみで生きていくのは非常に危険です。
現代ですらこのような状況なのですから、私たちの子どもが大人になる時代においては、よりこの状態が進行していくことは疑いようがありません。
そうなった時に、「いい会社に就職して働きなさい」以外に、子どもにお金の稼ぎ方の指針を示してあげられないのは致命的です。
『教育格差』の章でも書きましたが、親が、子どもの将来のキャリアに対する確かな見通しを持っていないことは、そのまま経済格差に繋がります。
現在、1つの収入源しか持たず、それ以外のお金の稼ぎ方を知らないという方は、自分だけではなく自分の子どもにも深刻な影響を与えるリスクがあることを認識するべきでしょう。
繰り返しますが、キーワードは『複業』です。
今のうちから、複数の収入源を持つという、”現代型のお金の稼ぎ方”を身に着けておくことが非常に重要になるのです。
『複業』『パラレルワーク』についての関連記事
当サイト内には、実際に複業やパラレルワークで収入を得ているライターが執筆した記事を、いくつかご用意しています。
下記にその一覧をまとめていますので、現在の自分に危機感を持たれている方は、お読みいただくことをおすすめします。
>>2つ以上の「本業」を持つ意味!複業をやることの”圧倒的メリット” 6つ
>>パラレルワークとは?専業も副業も時代遅れ!これが21世紀の働き方だ!
>>21世紀の働き方!”パラレルワーカー”になると手に入る・3つのモノ。
>>自分に合った「パラレルワーク」の仕事の選び方&成功のコツ・4ステップ
まとめ:収入の差が、人生の差になる
いかがでしたか?
今回ご紹介した内容は、実際に今、私たちの身に起きていることです。空想の話でも、過去の話でも、ましてや作り話でもありません。
経済格差は、健康格差・教育格差の原因になるばかりか、この3つの格差は相互に影響し合い負のスパイラルを生みます。
日本人はお金を稼ぐことに罪悪感や嫌悪感を抱くことの多い国民ですが、これは大きな間違い。
お金を稼がなければ、自分自身はおろか自分の家族を守れません!
お金を稼ぐことは、圧倒的に正しいことであり、経済格差をなくすことは、すべての人の健康と幸せに繋がる非常に有意義なこと。
収入の差が、人生の差になるとしたら、あなたはお金を稼ぎますか? 稼ぎませんか?
最新情報をお届けします